麦イカの丸ごと天ぷらはカキの味
麦イカの丸ごと天ぷらは奮闘努力の甲斐があった

釣り餌用の皿丈(さらたけでスルメイカの子供の三重県熊野地方の呼び名)を勝手にもらってきて、丸ごと揚げようとして大失敗する。
30g前後の小イカのゲソを抜き、消化中のものなどを流し、ゲソをもう一度体の中に入れて、水分を切り、焼き串で四方八方から突き刺す。
小麦粉をまぶして分厚い衣をつけて中温で揚げる。
順調だったのは始めだけ、部屋中油まみれになるし、飛んできた油に襲われるは……。
だまってもらってきたのでバチが当たったのかも。
二度目の挑戦は丸ごとゆでてゲソを外して、消化中のエサなどを、ていねいに洗い流す。
とにかく墨とワタだけ体内に残してゲソを体に刺し込んで、焼き串で徹底的に突き刺す。
念のために少し置いて水分をよく拭き取るなどする。
小麦粉をまぶして、厚めの衣をつけて中温で揚げる。
形は不格好になったが、無事揚がる。
墨とワタが味の波のように押し寄せてくる

揚げたてを丸のままかじりつく。
イカ自体の塩気がちょうどいい。
身に甘味があるし、少し遅れてわたと墨の濃厚なうま味が波となり押し寄せてくる。
味の奥行きでは「カキの天ぷら」に匹敵する。
ゆでて揚げているにも関わらず、油の直撃を2、3発食らったが、それをもってしても余りあるうまさである。
思わず、ノンアルコールビールを一本あける。
最近、意外にこれで半分くらいは満足できる。