
写真は雄。雄の方はハサミ脚が長く大形になる。甲幅は15cmを超える。菱形で甲羅はオリーブ色から青。雄はハサミが長く大きい。いちばん後方の足はオール状に平らたくなり、泳ぐことができる。
ガザミの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)


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	- 魚貝の物知り度 ★★
 これは常識
- 食べ物としての重要度 ★★★★
 重要
- 味の評価度 ★★★★
 非常に美味
 分類節足動物門甲殻上綱軟甲綱(エビ綱)真軟綱亜綱(エビ亜綱)ホンエビ上目十脚目短尾下目ガザミ上科ワタリガニ(ガザミ)科ガザミ属ガザミ亜属外国名学名Portunus pelagicus (Linnaeus, 1758)漢字・学名由来漢字 蝤蛑 Gazami
 由来 ハサミは強靱で強く、はさまれるとケガをするほど。それで「カニであってはさまれると痛手を負うことからカニハサミ」となり、これが短縮されて「ガザミ」となった。
 Portunus (Portunus) trituberculatus (Miers.1876)→Portunus pelagicus (Linnaeus, 1758)地方名・市場名 ?生息域北海道南部から九州。韓国、中国、台湾。
 水深5〜30メートルに多く、内湾を好む。生態温かい時期は浅場で生活し、秋になると深場に移動、冬には砂に潜り冬眠する。
 夜行性。昼は砂に潜って、夜に活動する。
 いちばん後方の第5脚はオール状になり泳ぐことができる。
 エサは巻貝、二枚貝、環形動物、甲殻類など。
 秋(最盛期は10-11月)に雌(めす)の脱皮を待って後尾する。
 産卵期は4月〜9月。2回産卵する。
 産卵した卵は抱卵する。抱卵は10日〜20日。
 甲長6センチ前後、甲幅15センチ前後になる。
 寿命は2年〜3年。基本情報内湾に多く、江戸時代には江戸前が有名であったし、内湾に近い地域でもっとも日常的なカニだったと思う。ガザミ(ワタリガニ)類の代表的なもので、古くからカニ全体を代表するものであった。
 北国のタラバガニやズワイガニ、ケガニが一般化する前は「カニ」といえばこれをさすことが多かった。水産基本情報選び方活けは生きのいいもの。持って重いもの、腹部を触って硬いものを選ぶ。
 雄雌(おすめす)は基本的に身は雄がうまい。
 寒い時期、雌は内子を持っていてこれを珍重する。
 外子(ふんどし部分に出た卵)はまずいので、これが少ないものを選ぶ。
 身はともかく「みそ」と呼ばれる肝膵臓(かんすいぞう)がたっぷりしているのは秋から寒い時期。味わい旬は晩秋から春
 秋交尾の後に深場へ移動する時期が美味。夏には脱皮するカニが多いのでうまくない。
 また雌の内子が満ちているのは冬から春。非常に淡泊な味わいだが甘みが長々と感じられる。カニらしい香りがいい。
 料理の方向性あまり料理法は多くない。完全な生は水分が多く、うま味がない。韓国のケジャンはここに調味料を浸透させるもの。基本的な料理法はゆでるか蒸す。またみそ汁にすることも多い。中華料理の炒めるというのも炒め煮だと考えるとわかりやすそう。筋肉は適度に繊維質でほどよくほぐれて甘味が強い。ミソ(肝膵臓)、卵巣の濃厚な旨みと甘みもずば抜けている。栄養ー危険性などー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)好んで食べる地域・名物料理太良ガニ、竹崎ガニ 佐賀県藤津郡太良町ではガザミ料理を名物としている。
 日本各地。加工品・名産品釣り情報砂浜などからカニ網(エサにきたカニを絡め取る)をつけて投げ釣りで釣る。歴史・ことわざ・雑学などかに 〈東京で「カニ」といえばガザミのことをいう。群れをなして移動するので「ワタリガニ」といい、むしろ耳に響きのいい「ワタリ(ガニ)」が一般的な呼び名である。〉『河岸の魚』(町山清 国際商業出版)
 大森、品川のカニ料理 〈その、うまいカニ料理が初めて東京でお目見えしたのは明治三十五ごろである。大森、品川の東海道筋、はては柳橋あたりに相次いで店開きした料亭では趣向をこらしたカニ料理でたくさんの客を引いた。なかでも大森海岸の「澤田屋」という店では、波打ちぎわにサジキを組み、よしず張りの下で、水揚げしたばかりのカニを食わせる。〉『河岸の魚』(町山清 国際商業出版)
 魚河岸 〈それほどの人気のカニも、魚河岸で取引きされ、小売店の店頭に出回すようになったのは、ずっと後の昭和初期である〉『河岸の魚』(町山清 国際商業出版)
 歳時記 季語 夏
 月夜のガザミは身がない 「月夜の蟹は身がない」。参考文献・協力『水産無脊椎動物Ⅱ 有用・有害種各論』(奥谷喬 恒星社厚生閣)、『原色日本大型甲殻類図鑑』(三宅貞祥 保育社)『河岸の魚』(町山清 国際商業出版)、『広辞苑』(岩波書店)
 協力/宇部市 魚勝



















 
					 
					

