小田原江之浦沖のやや大アジの刺身

神奈川県小田原市、小田原魚市場で年間を通じて水揚げをみると、必ず年間での魚の味の変化がわかるだろうと思っていた。
たしかに個々の魚の味の、大きな波の上下はわかってきたが、いちばんわからないのがマアジとは思いもしなかった。
日渉丸、江の安漁場のワタルさんが選んだ個体とか、二宮定置の山崎さんなどの若い衆が選んでくれた固体は時季に関わらずおいしい。
結果、大きさによる味の違いがわからなくなってきた。
結果、時期はずれ期間がはっきりしなくなっている。
5月、6月は当たり外れがない時季ではある。
でも、この時季が相模湾西部の旬だとも言い切れない。
漁場によるずれがあるのである。
小田原随一の目利き、仕立てのプロである、江の安漁場のワタルさんが選んだ固体、江之浦漁港前のマアジなので、食べる前から結果はみえている。
脂のいちばんのる時季は少し後だけど、水揚げ15時間後の刺身は室温に置くと、表面が脂で滲み始める。
うま味はこの時点ではイマイチだけど、この時点だからこその強い食感がある。
食感が強い初日の刺身には一味唐辛子かも

ワタルさんが、「今日はダメだぞ、(初日に)食うなら醤油に一味(唐辛子)な」に素直に従って、食べたらしょうが醤油よりも、わさび醤油よりもうまい。
ここまでおいしいと、「大の字になってどうにでもしてくれ!」な気持ちになる。
2日目は一本丸々刺身に、正一合の飯が消える

ワタルさんの「食うなら明日から」というので、翌日も刺身にして昼ご飯のご飯の友にする。
名状しがたい味で、表現が難しい。
昨日よりも余計に脂が存在感を発揮しているし、うま味も増している。
文字にするよりも、我慢できなくてもう半身刺身にして、ご飯を1合近く消費してしまったことで、その味がわかると思う。
デブには愛と悲しみの昼ご飯だった。