早生まれ1歳イサキの刺身

瓜坊の刺身はもっともっとたくさんの人に食べてもらいたい


今どきとれる小イサキは、生まれてちょうど1年なのにちゃんと生殖巣が膨らみかけている。
体に縞模様があるので、この小イサキを「瓜坊(イノシシの子供のことで、イノシシの子の模様に似た模様があるため、などの説がある)」という。
たぶん8、9月には産卵に加わるのだと思う。
イサキはませた魚で、早熟なのである。

片身がちょうどいい大きさで、皮下に薄らと脂が見えるのは、うんとたっぷりエサを食べているからだろう。
いろんな魚の下敷きになったものも含めて、健康で固太りの小イサキの刺身はとても美しい。

今の時季の成魚には皮下に脂の層ができ、身にも混ざり込んでいるので、味が重い。
1歳イサキは味がスイスイスイダラだった、ほーいのほーいと軽い。
軽いけど味は濃いし、脂の存在はちゃんと舌のざらつきとして残る。
いくらでも食らえる。
「松みどり」を飲み飲み、二宮定置のみなさんにはお礼に1尾あたり1万円さしあげてもいい、と思ったものだ。

この1歳イサキというものは滅法うまいものだが、意外に人の口には届かない。
神奈川県小田原あたりなら、一歳イサキ、食えるんじゃないかな?

小イサキの方が自然に悪影響を与える養殖サーモンよりもうまい


5月9日の神奈川県小田原魚市場は、二宮定置はぐちゃぐちゃと多種類の魚が、しかもたっぷり揚がっていた。
中に、ちょうど1歳のイサキが混ざっていた。売り物にはならないけど、非常に味のいいのが1歳イサキである。

中から数尾分けてもらってきて、いろんな料理を作る。
まずは刺身だ。
イサキは体長14cm・50g前後だけど、生殖巣が膨らみつつある。
まず雄3尾を刺身にする。

一太刀で袈裟懸けにするのがコツ


鱗をとらないで袈裟懸けに切る。
内臓はきれいなのでざっと洗う。
小さいのに白子が見える。

皮を引くと片身で一切れの刺身となる


三枚に下ろして中骨を抜いて、皮を引く。
小さいので片身でちょうどいいサイズだ。


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