オショロガレイ

Scientific Name / Platichthys stellatus×Platichthys bicoloratus

オショロガレイの形態写真

50cm SL 前後になるのではないか? 目は右、もしくは左についている。体にある硬い骨質の鱗は弱く、背鰭・尻鰭に薄い褐色の斑紋がある。[宮城県七ヶ浜 36cm SL・1㎏]

    • 珍魚度・珍しさ

      ★★★★
      正に珍魚・激レア生物
    • 魚貝の物知り度

      ★★★★★
      知っていたら学者級
    • 食べ物としての重要度

      ★★
      地域的、嗜好品的なもの
    • 味の評価度

      ★★★★
      非常に美味

    分類

    顎口上目硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系カレイ目カレイ亜科カレイ科ヌマガレイ属

    外国名

    学名

    Platichthys stellatus×Platichthys bicoloratus

    漢字・学名由来

    漢字/忍路鰈 Standard Japanese name / Oshorogarei
    由来・語源/北海道小樽市忍路、忍路湾で揚がった個体で1934年に新種記載されたため。命名は記載者の疋田豊治。後にヌマガレイとイシガレイの雑種であることが判明する。
    〈カレイ科オショロガレイ属 Pseudoplatichthys HIKITA,1934 オショロガレヒ  Pseudoplatichthys oshorensis HIKITA 本種はヌマガレヒとイシガレヒの雑種ではないかと思われる様な形態を具えてゐる。〔北海道忍路〕〉。
    『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)
    〈イシガレイとヌマガレイの雑種 Kareius bicoloratus ×Platichthys stellatus オショロガレイ Pseudoplatichthys oshorensis は疋田(1934)により新属新種として公表されたものであるが、イシガレイとヌマガレイの両系質を帯びているところから、 HUBBS と KUBONUMA (1942 ) はこれら3社について各形質を比較検討した結果、オショロガレイはこれら両種の雑種であることがわかった。〉。
    〈もっとも興味あるのは、有眼側の中間性である。理由はわからないが、眼の位置は日本産のヌマガレイは全部左側にある。これに対して、イシガレイでは例外なく眼は右側にある。調査された27尾の雑種では、この形質は中間性を示し、眼は13尾では右に、残りの14尾では左に見られた〉
    『魚類の形態と検索』(松原喜代松 岩崎書店 1955)
    Hikita
    疋田豊治。1882(明治15)-1974(昭和49)。明治15年7月3日、山形県西田川郡日枝村(現・鶴岡市)生まれ。疋田太郎右エ門家に生まれる。荘内中学校、東京理科大学臨時教員養成所卒業。北海道大学農学部。カレイの疋田の評価を高め、北日本産カレイ類の研究で有名。シシャモの命名者でもある。

    地方名・市場名

    生息域

    海水・汽水域。
    北海道能取湖・忍路湾・留萌、知内、松島湾、金華山沖、八郎潟、新潟県。

    生態

    産卵期はヌマガレイ、イシガレイとも2月、3月で、ともに川の河口域で産卵する。
    両種は産卵期に同じ場所で産卵するために交雑が起こる。

    基本情報

    自然界に発生するハイブリッドで、生息域はヌマガレイとイシガレイが混在する海域である。
    目の位置が左右どちらかであるなど、どちらかの形質が強く出ることがあるかも知れない。
    水揚げは非常に希で、交雑種と認知されないまま流通している可能性が高い。
    手に入れた個体は宮城県産であるが、味わいとしてはイシガレイに近い。
    ヌマガレイ、イシガレイとも活魚でしか評価されない魚なので、活魚でさえ流通すればおいしいと思う。
    珍魚度 非常に珍しいと思われる。出現の確率などは不明だが、探しても手に入るものではない。

    水産基本情報

    市場での評価/まだほとんど見ていない。
    漁法/
    産地/北海道、宮城県

    選び方

    厚みのある個体で、活魚がいい。

    味わい

    旬は不明。味はヌマガレイとイシガレイの中間的なものだが、今回の個体はよりイシガレイに近かった。
    鱗は骨質状で引くことはできない。皮は厚みがあって強い。骨は硬くない。
    透明感のある白身で熱を通しても硬く締まらない。
    ヌマガレイ、イシガレイ同様に熱を通すと、わずかだが活魚でも臭味がでる。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    オショロガレイの料理・レシピ・食べ方/生食(刺身)、揚げる(フライ、天ぷら、唐揚げ)、ソテー(ムニエル)、煮る(煮つけ)、汁(潮汁)

    オショロガレイの刺身 明らかに味ではイシガレイに近い。淡泊な味のヌマガレイよりも味がある。活魚なので強い食感があり、後から甘味とうま味がちゃんとやってくる。縁側には脂を感じる。
    水洗いして5枚に下ろす。皮を引いて薄く切りつける。

    オショロガレイのフライ 皮を引いた状態でフライにした。非常にあっさりした白身の味で、ほどよく繊維質で口の中でのほぐれ感がある。表面の香ばしさに中の豊潤さの対比が素晴らしい。
    5枚に下ろして皮を引き、塩コショウする。少し臭味があるのでカレー粉などを使ってもいい。小麦粉をまぶし溶き卵にくぐらせパン粉をつけて中温で揚げる。
    オショロガレイの天ぷら 皮を引いて高温で揚げると、ふんわり膨らんで柔らかい。衣の香ばしさと、身の豊潤さで非常に味わい深い。山椒か一味唐辛子などを使って食べるとうまい。
    5枚に下ろし、皮を引く。適当な大きさに切り、振り塩をする。出て来た水分を取り、小麦粉をまぶし、衣をつけて短時間で揚げる。
    オショロガレイの唐揚げ 鰭の周辺をじっくり時間をかけて二度揚げしたもので、ざくっと香ばしい。鰭筋(縁側)は脂があって味にこくがある。
    水洗いして5枚に下ろして、鰭際を切り取る。水分をよくきり、片栗粉をまぶしてじっくり時間をかけて揚げ。一度取りだし今度は高温で揚げる。揚げ上がりに振り塩をする。
    オショロガレイのつけ焼き 非常に上品な白身で塩焼きにしてもいいが、プラス別の味が欲しい。ここでは醤油とみりんを合わせた味を加えたが、淡泊な身にとても好相性である。
    五枚に下ろして、腹側を切り身にする。弱めの振り塩をして少し寝かせて出て来た水分を取る。これを焼き、9分通り焼けたら、みりんと醤油を合わせた地を塗りながら仕上げる。
    オショロガレイのムニエル 腹部を皮付きのままじっくりソテーしたもの。残念ながら皮は香ばしく仕上がらなかったが、身に甘味がありバターとの相性もとてもよかった。
    五枚に下ろして。腹側を切り身にする。塩コショウして小麦粉をまぶして多めの油でじっくりとソテーする。余分な油をすててバターで風味づけ。
    オショロガレイの煮つけ 頭部やかま、肝を煮つけたもので、意外に食べるところが多い。頬の身は締まっていて味がある。肝のおいしさも上場である。
    水洗いして頭部やかま、肝などを取り分けて置く。湯通しして冷水に落としてぬめりなどを流す。水分をよくきり、酒・醤油・砂糖・水で煮る。仕上げに振りしょうがをする。
    オショロガレイの煮合わせ 中骨はくせのないいいだしが出る。これで麩や豆腐、野菜などを煮ると非常にうまい。ここでは新潟県の車麩、うど、ナスを煮てみた。ボリュームがあり、本種の上品な身の味も楽しめる。
    5枚下ろしにし中骨の中心部分だけにする。適当に切り、湯通し氷水に取る。水分を切り、酒・醤油・みりん・水、しょうが、さし昆布と煮る。他の具は火の通りにくいものから加えていく。
    オショロガレイの潮汁 頭部などあらからとてもいいだしが出る。酒と塩だけの味つけなのに意外に強い味わいである。微かにくせがあるので、振りしょうが、山椒、コショウなどで食べる。
    あらは適当に切り、湯通しする。氷水に落としてヌメリなどを流し、水切りする。これを差し昆布をした水から煮出して酒・塩で味つけする。

    好んで食べる地域・名物料理

    加工品・名産品

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    協力/舵丸水産(八王子卸売協同組合)、大倉直樹さん
    『北海道の全魚種図鑑』(尼岡邦夫、仲谷一宏、矢部衛 北海道新聞社 2020)
  • 主食材として「オショロガレイ」を使用したレシピ一覧

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